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テンチョーサンと留学生アルバイター

それは何の変哲もない日のこと。
「テンチョーサンテンチョーサン ココシナギレヨー!」
テンチョーサンはその棚に向かう。
しかしそこに何が置いてあったのか、すっかり忘れてしまっていたのです。
老化のせいかもしれません。
テンチョーサンは考えました。ずっと頭の中に突っかかっていたからです。
それもまた何の変哲もない日。
遠く離れて暮らしている孫から、テンチョーサンへ贈り物が届きました。
テンチョーサンは喜びました。
テンチョーサンが箱を開けると、そこにあったのは花でした。
土のついたままのビンボーグサでした。
テンチョーサンはなぜ孫がこんなものを送ってきたのか疑問を持ちました。
しかし一生懸命にビンボーグサを抜いている孫を想像すると自然に笑みがこぼれてきました。
こんな何でもない花を根っこを切らず、生きたままの状態をテンチョーサンに見せたかったのです。
その時テンチョーサンは気付いたのです。
あそこの棚に置いてあったのは、愛情だった。
孫がテンチョーサンを思うように、テンチョーサンも孫を思います。
誰もが皆誰かを思い、愛しく思うのです。
テンチョーサンは店に戻りすぐそれを取り寄せました。
その後テンチョーサンの手にはそれがありました。
テンチョーサンは孫へ送ります。愛情を。
テンチョーサンが孫にあげるのはもちろんヴェルタースオリジナル。
なぜなら孫は、テンチョーサンの特別な存在だからです。


「テンチョーサンテンチョーサン ココシナギレヨー!」
今日もまたなくなりました。
毎日毎日、誰かが誰かを思い買っていくのです。



やべwwwwネタ感動風味wwwww
この話如きで愛情を思い出していただけるとありがたい。
そしてその人へ、ヴェルタースオリジナルを。

by kozoku1 | 2006-08-04 23:49 | 小説  

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